どろっぴんぐ。

ケータイ小説サイト野いちごから繋がるブログとして利用。

只今、移行中。[09]

やれやれ…という感じで、一応ネタの整理が一段落しました。
これで次作のネタ確保といった所です。 (;・∀・) =3

来週からまた続きを投稿しようと思うので、読んでいただきたいです。


またまたチョイチョイ見せを。続きです。




       2


 それから数日後。トレーニングルームで鍛えていたt30に指令が掛かった。t30は短時間でシャワーで汗を洗い流し、着替えると、車へと乗った。ゴーグルを着け、そこへ選択者のデータを映し出した。

 笹道かな。(26)運送会社の事務員。会社と自宅の住所が載っている。

 それとかなの運命を左右する朱紫の情報。

 只今午前11時を回っている。t30はかなの職場へと向かった。 


 営業時間にも拘らずt30は気にせず社内へと入って行く。そこへ中年男性がいたので「急用で笹道カナを呼び出して下さい」と頼んだ。

「はぁ、あなたはどちらさん?」

 と身元を訊かれたので、

「市役所の者です」

 と適当な嘘をつく。

「市役所の方? ちょっとお待ち下さい」

 その言葉を信じたのか、カナを呼びに行ってくれた。そして暫くしてかなが現れる。

「あの…笹道ですが…何でしょうか?」

 職場に態々市役所の職員が訪ねて来るとは一体何事だろうかと、不安な顔をしていた。

「二人だけで少しお話をしたい事があるのです」

 と話し、社屋を出て路地へと連れ出した。

 市役所の職員としては異様な出で立ちをしていると感じたカナ。それに明らかに自分より年下だ。本当にこの人は市の職員なのかと半信半疑ではあった。

「これから話す事は、貴方にとって信じられ無い事かもしれませんが、どうか私を信じて協力してください」

 静かな口調で言い、真っ直ぐに眼を見て相手を信用させようと努める。慎重な面持ちで言われ、カナはごくりと喉を鳴らせて頷いた。

「赤い糸をご存知ですね。今、貴方の赤い糸がある人物によって邪魔されようとしているのです。私達はそれを朱紫と呼び、本来の赤い糸を朱、そこへ割って入って来た者を紫と言います。それで貴方はその朱紫のどちらかを選ばなければならないのです。今ここでその答えを聞かせて下さい」

 カナは固まっていた。きちんと話しは聞いていたのだが、何を言っているのか理解出来なかった。頭に残ったのは赤い糸という言葉だけ。話しの流れからして、赤い糸とは、運命の人と結ばれているというあの赤い糸と理解していいのだろうか?

 だとしても何故、市の職員からそんな話を聞かされるのだろうか。最近では市役所内にお見合い部所といったものがあるのだろうか。そんな所へ申し込んだ覚えは無いが、市役所の方が勝手に判断して登録するのか?

 だがカナは現在彼氏がいてお見合いをする気など無い。その意思をはっきりと伝えておかねば。

「あの、あたし、今、彼氏がいるんです。だからそのお話は…」

「それは関係ありません」

 話し終わらない内に言葉を遮られてしまった。

「問題はそこではありません。本来の赤い糸の相手と結ばれたいか、それともそれを阻む者に懸けたいか、そのどちらかを貴方が選択するのです。貴方自身の人生です。急を要しています。今直ぐその答えを下さい」

 なんだか凄く急いでいるらしい。登録期限でもあるのだろうか? 登録しなければならないのだろうか? 強制なのか…? 疑問に感じる事は多々あるし、会話の内容は把握できなかったが、兎に角ここでどちらかを選ばなければならないみたいだ。自分に運命の赤い糸で結ばれている人がいるならば、それを信じたいと思い、

「本来の赤い糸の相手を選びます」

 と言った。

「判りました」

 返事を聞いて、t30が直ぐにそこから去ろうとした所を、カナは呼び止めた。

「あの! あたしにも赤い糸で結ばれている人はいるの?」

 念わず両手の指を組んで、肩に力が入る。

 t30は振り返って、静かな笑みを浮かべた。

「もちろんです」

「それは誰ですか? 今の彼氏?」

 何と答えが返ってくるのか、カナの心臓がドキドキ言っている。

 t30は少し間を置いてから口を開く。

「その時が来れば判ります」

 ディスポウザーは不必要な糸を始末するのが任務。朱紫の立場を公平にする為、それ以上の情報は明かす事は出来ない。t30はそのまま背を向けてその場から去った。



「次はリサーチだ」

 t30はゴーグルに映るパネルを触って、ターゲットの情報を映し出す。

 池中葉(23)居酒屋でバイトをしている。

 始末するには人目につきにくい夜が適している。t30は一度部屋に戻って、夜になってから行動する事とした。




今回はここまでです。 m(_ _)m

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