どろっぴんぐ。

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『愛も罪も』の番外編、『禁錮の扉 ディスポウザーa2』の冒頭、チラ見せです。


   禁錮の扉 ディスポウザーa2
 

    第一章 追憶


       1


「またそんな物を拾って来て!」

 冷眼な視線で見下ろすと、その大人は小さな子から雑誌を取り上げた。

「あっ…!」

 物惜し気に雑誌を見つめるが、返しては貰えぬ事を知了しているその子は、相手を睨み付けて口を真一文字に堅く閉じた。

 廃材置場の入り口付近に隠れて、映画雑誌を見ていた子に、指導者が叱呵する。

「何度言ったら判るんだ。お前にこんな物は必要ない。いい加減に空想の世界から卒業して現実を見ろ!」 

 両手で絞るようにしてその雑誌を握り潰すと、眉間に深く皺を寄せ、意識して不快な顔を見せ付けてから去って行った。

 その場に屈んでいた子は、相手の背中が見えなくなるまで、じっと見据えて自分の感情を押し殺していた。軈て近くに落ちていた鉄パイプを掴むと、それを両手で握り締め、刀を振り翳すようにして空を斬った。

「バカヤロー!」

 頭の中の残像を思い浮かべては、悔しさをそこへぶつける。湧き起こる苦困を抑えきれず、立ち上がって周辺に置いてある廃材を力一杯にパイプで叩きつけた。

「コノヤロー! クソッ! コノ! コノ! ……」

 大きな音を発ててステンレス板やワイヤーが散乱する。

 悲愁な瞳から大粒の涙が止め処無く溢れ零れる。

 



以上、チラ見せでした。 m(_ _)m
 
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    『愛も罪も』 / 白藍。

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